1994年(平成6年) 創価ルネサンス・栄光の年 25年4月18日 |
人間精神の気高き凱歌を響かせよ 1・26~2・12 香港・中国・タイへ 1994年(平成6年)1月26日から始まった池田先生の香港、中国、タイのアジア平和旅。先生は各地で文化・教育の行事に出席し、交流の足跡をとどめた。 香港で行われた「第1回SGI平和芸術祭」の舞台には、香港SGIの各文化団体が出演。香港を代表する演奏家や歌手なども登場し、一体となって観衆を魅了した。 香港中文大学で開催された「日本美術名宝展」は、アジアで戦後初めての本格的な日本美術展となった。日本はかつて香港を侵略した。その歴史は、人々の心に日本への強い反発となって残った。同展は日本文化を伝えるだけではなく、平和の心を運ぶ役割も果たした。 タイで行われた「世界の少年少女絵画展」には、「子どもたちが、より良い世界を築こうと、夢をふくらませ、表現していくことは、世界の未来にとって素晴らしいこと」などの声が識者から寄せられた。 さらにタイでは、2年ぶり3度目となるプーミポン国王との会見が約1時間半にわたって行われた。その模様は、タイのテレビ局が一斉に報じた。先生は、ガラヤニ王女とも対話の花を咲かせた。 中国・深圳大学では、「『人間主義』の限りなき地平」と題して記念講演。地元紙が「不断被聴衆熱烈的掌声(聴衆からの熱烈な拍手が鳴りやまなかった)」と報じたように、参加者の心に大きな感動を呼んだ。 こうした日程の中、先生は香港とタイで、5回にわたってスピーチ。香港SGI最高会議では、「安定とは、ただ“じっとしていること”ではない。前進と挑戦のたくましい息吹の中にこそ、真実の安定がある」と訴えた。 また、タイ最高会議では、「タイの社会にあって、良き市民、良き国民として、ますます貢献されゆくことを、私は祈りたい。とともに、お一人お一人が、自分らしい勝利の人生を、厳然と勝ち取っていただきたい」と望んだ。 訪問地域の発展を願い、友の幸福・勝利のために励まし続けた18日間の平和旅。それは、「人間主義」の潮流を大きく広げる旅ともなった。 ![]() 1994年2月6日、バンコクで鼓笛隊の友にエールを 5・15~6・19 ロシア・欧州訪問 「一日一日が、一瞬一瞬が、世界広布の基盤を創り上げる建設作業であった。動くべき時に動かず、やるべき時にやらねば、未来永劫に悔いを残す」 池田先生は1994年(平成6年)の海外訪問を通して、小説『新・人間革命』第30巻〈下〉「誓願」の章に記した。 同年5月15日から幕を開けたロシア、欧州歴訪。1カ月余の旅で、先生は各国の識者と語らい、教育・文化交流を推進し、SGIの友に励ましを送った。 モスクワ大学の招聘でロシアを訪問した先生は17日、同大学で「人間――大いなるコスモス」と題して講演。本紙を通して講演の詳細を知った、日本トルストイ協会会長を務めた藤沼貴氏は、「講演は、ロシア人に大きな喜びと勇気を与えたに違いありません」とたたえた。 翌18日、モスクワ大学で「自然との対話――池田大作写真展」が開幕する。月の写真を前にして、先生が作家のアイトマートフ氏に語りかけた。 「この『おとぎの国』を見れば、創作のインスピレーションがわくのでは?」 氏は答えた。 「それでは私は、池田先生が撮影された時の情景をペンで描きましょう」 すると、傍らにいた、モスクワ大学で総長を務めたログノフ博士が言った。 「それなら私は(この月の様子を)科学的に解析してみましょう」 写真を通して、語らいに花が咲く。3人の姿は、写真展が「友情の催し」であることを象徴していた。先生は、開会式のあいさつで語った。 「時は流れ、社会は変わり、文明は移ります。一瞬として、とどまることなき万有流転の中にあって、人は一体、何を残しゆくのか。私は、『友情』こそを残したいと願ってきた一人であります。雪崩のごとき時流にも押し流されず、人間精神の気高き凱歌を、永遠に響かせゆくものこそ、友情ではないでしょうか」 74年(昭和49年)9月の初訪ソから20星霜――。このロシア訪問の折、同国を代表する知性が、先生の功績を次々とたたえた。それは、思想・信条の違いを超え、友好の道を開いてきた先生への信頼の証しだった。 21日、先生はドイツへ。24日に開かれたドイツ最高会議で語った。 「『偉大な功徳を皆に受けさせたい』――そう願う一念が大切である。『皆が幸せになってほしい』――私には、その思い以外に何もない」 その後のイタリア訪問では、“世界最古の大学”といわれるボローニャ大学で、レオナルド・ダ・ヴィンチに焦点を当てた記念講演を。イタリアの記念総会や世界青年平和文化祭などに出席した。 6月6日、イギリスの地を踏む。この訪問の折、グラスゴー大学が先生に名誉博士号を授与している。 11日、SGI総会がタプロー・コート総合文化センターで行われた。先生は「私の願いは、皆さまが大いなる功徳を受けられることである」と述べ、参加者に向かって「功徳を受けていますか?」と問いかけた。 一斉に手が上がった。先生は語った。 「もっと受けていただきたい。無量無辺に功徳を受けていただきたい。それだけが私の願いである」 ![]() “世界最古”の歴史輝くイタリア・ボローニャ大学で、池田先生が記念講演(1994年6月1日) ![]() スコットランドが誇るグラスゴー大学の名誉博士として、伝統のキャンパスを歩く池田先生(1994年6月15日) ◆年表◆ 1994年 【1994年(平成6年) 創価ルネサンス・栄光の年】 〈1月17日〉 アメリカ・デンバー大学のビンセント・ハーディング博士と会談(東京)。博士は公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キング博士の盟友。後に対談集『希望の教育 平和の行進――キング博士の夢とともに』を発刊 〈1月26日〉 香港・中国〈第9次〉・タイ訪問(~2月12日) 中国の深圳大学で「『人間主義』の限りなき地平」と題し記念講演(1月31日) 〈2月28日〉 コロンビア共和国から「ボヤカ大十字勲章」を受章(東京) 〈5月15日〉 ロシア・欧州訪問(~6月19日。ロシア、ドイツ、イタリア、イギリス) モスクワ大学で「人間――大いなるコスモス」と題し記念講演(5月17日) ドイツ総合文化センター(現・ヴィラ・ザクセン総合文化センター)を初訪問(5月24日) 現存する世界最古の総合大学であるイタリアのボローニャ大学を訪問。名誉博士号を受け、「レオナルドの眼と人類の議会――国連の未来についての考察」と題し記念講演(6月1日) イギリスのチャールズ皇太子と会見(6月8日)。グラスゴー大学から名誉博士号を受ける(15日) 〈10月4日〉 ブルガリア共和国から「マダラの騎士勲章勲一等」を受章(東京) 〈10月18日〉 東京富士美術館でガンジー生誕125周年記念「アショカ、ガンジー、ネルー展」の開会式 〈11月24日〉 台湾の中国文化大学の張鏡湖理事長、林彩梅学長らと会談(福岡)。後に張理事長と対談集『教育と文化の王道』を発刊 〈12月8日〉 ポーランドのレフ・ワレサ大統領と迎賓館で会見(東京) 〈12月17日〉 アメリカ・デンバー大学のベッド・P・ナンダ博士と会談(東京)。インド出身で法学者の博士と、後に対談集『インドの精神――仏教とヒンズー教』を発刊 〈社会の動き〉 5月、南アフリカ初の全人種参加の制憲議会(下院)選挙。マンデラ氏が大統領に |