1988年(昭和63年)「信行・成長の年」
24年9月2日
アジアの指導者たちと会見
1988年(昭和63年)1月27日、池田先生は香港、タイ、マレーシア、シンガポールへのアジア平和旅に出発した。
翌28日、香港文化会館を訪問。開館記念式典に出席し、友を励ました。29日、香港大学への図書贈呈式で、「人格と英知の調和こそ大学の使命」と語った。また、この日、香港の友に長編詩「平和の港に 幸の旭日よ昇れ」を詠み贈った。
31日、16カ国・地域のメンバーが参加して、第9回「世界青年平和文化祭」が香港体育館で行われた。グランドフィナーレの後、先生はマイクを手に、「大変に素晴らしかった。大変に朗らかだった。大変に頼もしく、大変に美しかった。そして、私は心から感動いたしました」と語り、友の健闘を最大にたたえた。
2月1日、24年ぶりとなるタイへ。翌2日、チュラロンコン大学を訪れ、図書贈呈式に出席。タイの学生部員らと記念撮影を行った。また、タイの友に長編詩「微笑の国 豊饒の大地」を贈った。
3日、先生はチトラダ宮殿にプーミポン国王を表敬訪問。当初、会見の予定は30分だったが、語らいは弾み、予定の時間を大幅に超え、1時間以上に及んだ。
国王は語った。
「『平和』といっても、『世界』といっても、結局は一個の人間に集約されます。ゆえに私が言いたいのは、こういうことです。『人間の問題』を解決せよ! そうすれば『世界の問題』を解決することになる」
会見は、同国の国営放送のトップニュースで放映された。先生は国王御撮影の写真展を、日本やアメリカなどで開催することを提案。翌年、東京富士美術館で国王御撮影の特別写真展が実現する。
4日、首都バンコクにあるタイ会館を訪問。各部の代表と勤行し、激励した。
タイでの行程を終えた5日、初訪問となるマレーシアへ。長編詩「若々しく未来に光る国」を詠んだ。
6日、マハティール首相を表敬訪問し、1時間にわたって会見。リーダーの要件などについて語り合った。この日、先生はマラヤ大学で行われた図書贈呈式にも足を運んだ。7日、マレーシア文化会館を初めて訪れ、記念植樹を。全精魂を注いで友に励ましを送り続けた。
8日、シンガポールを初訪問。長編詩「『獅子の都』に緑なす道」を贈った。翌9日、建国の父リー・クアンユー首相と会見した。その模様は、同国のテレビで放映された。先生はまた、シンガポール文化会館で代表と勤行し、魂の絆を結んだ。
10日、シンガポール大学で行われた図書贈呈式に出席。「教育の“善なる光”を社会に」とあいさつした。翌11日、再び香港を訪れた先生は、15日までの滞在の間、同志をたたえ、励まし続けた。
先生が訪問した4カ国・地域の広宣流布は、この時から勢いを増して前進を始めた。先生がとどめた師弟の魂は今、同志の胸中に息づいている。

タイ・バンコクのチトラダ宮殿で、プーミポン国王と池田先生が会見(1988年2月3日)

マレーシアの首相官邸でマハティール首相と語らう(1988年2月6日)

池田先生が初訪問したシンガポールで、リー・クアンユー首相と会談(1988年2月9日)

「創価学会母の日」を提案
1988年(昭和63年)4月27日、第1回「全国婦人部幹部会」が行われた。席上、池田先生は、5月3日を「創価学会母の日」とすることを提案した。
5月3日は、戸田先生の第2代会長就任の日であり、池田先生の第3代会長就任の日でもある。その重要な記念日が、“広布に奮闘する母をたたえる日”となったのである。
先生は、新しい時代の婦人部にふさわしい、三色の婦人部旗を作製することも提案。それぞれの色に「和楽(赤)」「求道(黄)」「福運(青)」と、意義を込めた。白ゆりを配した婦人部旗は、創価学会の三色旗の原型となった。
先生は幹部会で語った。
「不自由に見える九界の現実の生活を離れて、どこか別世界に自由があるのではない」
「妙法こそ事実の上に、真の『自由』を実現する無上の大法なのである」
幹部会から10年がたった98年(平成10年)5月3日、先生は広布に献身する全世界の“母”の活躍に感謝し、詩「偉大なる母を讃う」を贈った。
「何ものにも壊されぬ 希望の当体/その名 永遠の栄光の母たちよ!」
「母が厳然としている限り/子どもの自由な安全地帯がある/母の顔に光がある限り/人類に絶望の暗黒はない/つねに 平和の太陽が赫々と照らす」
スピーチや随筆などを通して、“創価の母”に慈愛を注いできた先生。2021年(令和3年)5月3日、婦人部・女子部の結成70年の歴史を昇華して、「女性部」として新出発した本部幹部会のメッセージで、限りない期待を寄せた。
「安心して、いよいよ明るく誇り高く、いよいよ仲良く朗らかに、世界第一の『桜梅桃李』のスクラムを組んで、『女性の希望の世紀』すなわち『生命尊厳と平等そして平和の世紀』を創り光らせていってください」

1988年4月27日、第1回「全国婦人部幹部会」で友に励ましを送る池田先生

◆年表◆
1988年
【1988年(昭和63年)信行・成長の年】

〈1月27日〉
アジア訪問(~2月15日。香港、タイ、マレーシア、シンガポール)
香港で第9回世界青年平和文化祭(1月31日)
タイのプーミポン・アドゥンヤデート国王をチトラダ離宮に表敬訪問し会見(2月3日)〈92年2月、94年2月にも表敬訪問〉
マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相と首相官邸で会見(2月6日)
シンガポールのリー・クアンユー首相と首相官邸で会見(2月9日)

〈2月15日〉
沖縄指導(~22日)
沖縄広布35周年開幕記念総会(18日)

〈3月18日〉
関西指導(~27日。大阪、和歌山、兵庫)
第1回関西代表幹部会(21日、大阪)。和歌山広布35周年開幕記念研修会(23日)。第1回和歌山県総会(24日)。兵庫広布35周年記念幹部会(26日)

〈3月27日〉
中部指導(~29日。愛知)
名古屋広布35周年記念の中部幹部会(28日)

〈4月18日〉
アルゼンチン・タンゴの巨匠マリアーノ・モーレス氏と会談(東京)。後にタンゴの曲が献呈される

〈4月27日〉
第1回全国婦人部幹部会(東京)。5月3日を「創価学会母の日」とするとともに「青・黄・赤」の三色旗を新婦人部旗として制作することを提案〈その後、三色旗は、「平和・栄光・勝利」を表し、一人一人の幸福と平和の実現を目指す創価学会の理念の象徴として掲げられることになる〉

〈5月3日〉
5・3「創価学会の日」「第1回創価学会母の日」記念式典(創価大学)
『池田大作全集』第1巻を発刊
「永遠の日本の名宝展」と共に「池田大作写真展」(後の「自然との対話――池田大作写真展」)が海外で初めて、フランス学士院ジャックマール・アンドレ美術館で開催される。館長のルネ・ユイグ氏が選定、構成を担当

〈6月10日〉
第3回国連軍縮特別総会を記念し、デクエヤル国連事務総長から「特別顕彰」を受ける(代理 アメリカ)

〈7月20日〉
第1回SGI世界青年親善友好大会(神奈川)

〈8月26日〉
天文学者のチャンドラ・ウィックラマシンゲ博士と会談(東京)。後に対談集『「宇宙」と「人間」のロマンを語る――天文学と仏教の対話』を発刊

〈9月22日〉
第9回SGI総会(東京)

〈10月9日〉
ソ連の作家チンギス・アイトマートフ氏と会談(東京)。後に対談集『大いなる魂の詩』を発刊

〈社会の動き〉3月、青函トンネル開業。9月、ソウルでオリンピック開幕